『さくら・さくらんぼの障害児保育』より

斎藤公子編著  青木書店

さくら・さくらんぼ保育園とは

1956年 典型的な教育・保育闘争の結果うまれた。
一部屋だけの保育室から始まり、やっと認可基準に達した時、火災で全焼。
再建に一年、認可を認めてもらうのに一年、
七年間の無認可時代に終止符を打ち、1962年4月、認可を認められた。
また、日本で最初に「健常児と障害児の統合保育所」として認定された保育園でもある。

 『M保育園の紹介と保育理念より』

人間の脳は、3歳までに60%が、6歳までに90%ができあがるといわれ、
その乳幼児期に、脳に正しい刺激を送ることこそが、発達を促すことにつながります。

英才教育のように、
早く文字を教えたり、漢字を教えたりの「教え込み」「訓練」ではなく、
自然の摂理にあった「その年齢でやらなければいけない事」を、
遊びの中で、楽しく経験する事が大切です。

“体の一部を使うこと”より“全身を使うこと”、つまり運動神経は、
感覚神経と共に脳中枢神経でつながり、両神経の発達が脳中枢の発達を促します。
触覚、視覚などの“感覚神経”と、
手や足などを動かす“各運動神経”を発達させることが、
就学を可能にする6歳までの、知的な脳の発達を促す土台になるのです。

『自閉症児であった彼女は、まもなく小学校4年生になるはずであった。
ほんのわずかの時間、一人で家におかれた間に、
早春まだ残る寒さを気遣ってのストーブの火が、親心に反し、災いしたのであろうか。
焼失した家の中で死んでいたのであった。

お母さんの話では、表側はカギがかかっていなかったとの事。
それなのに彼女は裏側の台所に行き、
お父さんの話によると、流しの下の戸を開け、頭を中に入れていたとの事であった。
やはり彼女は、必死に行動していたのであった。

水を求めて、台所に行ったのか?
煙を逃れて、流しの下に頭を入れたのか?
災害訓練の時、いつも机の下に入っていたその学習が、そうさせたのか?

それにしても“外にのがれ出る”という力をつける事ができなかった保育・学校教育が、
悔やまれるのである。
知能というのは、ただテストなどによって評定される能力ではなくて、
環境に適応して、生命の危機から自分を安全にしていく事のできる能力であって、
そのような能力は生活の必要から発達し、また学習されていくものだ。』

保育園を開設するにあたって、まず最も大切に考えた事、
それは「本物の太陽」、「本物の木の床」、「本物の畳」、「本物の芝」を、
子供たちの全身に感じさせたいという事であった。

園にテレビを置かないだけでなく、
「普通に話ができるようになるまでは、家でもテレビをつけないようにしてもらいたい」
「食事もおやつも、園と同じように甘いものをなくしてもらいたい」
「日曜などは、山歩きをしてもらいたい」など、両親の協力を大きく頼む。
事実、毎朝早起きをして、近くの山登りを実施してくれたり、
冬もプール通いをしてくれたり、白砂糖の使用をやめてくれている家庭の子の成果は、やはり大きい。

その子供の“生きる力”を育てていくためには、
頭を保護するための「ヘルメット」や、その子の力をカバーする「強制靴」を使用するのではなくて、
「外気浴」や「自然食の栄養を考えた食事」、
山登り・散歩・水泳・リズム遊び等 「体を思い切り動かす運動を重視した保育」、
“文字学習に焦る親”の考えを かえる努力を惜しまない保母集団」が必要になってくる。

また、こうした中で育った健常児のたくましさ、優しい集団の力、
周りの大人の「優しさが溢れているが、毅然とした態度」があってこそ、
早期発見・早期治療もいきてくるのである。

腕の力をつける事は、自分の力で、ニ本の足で立つための基礎として、必要な力でもある。
立って歩く前に、ハイハイを充分させる事も、
腕の力・足指の蹴りの力を付けていく上で大切な事。

斜面を登る時は特に、足指の先に力が入るので発達に大変良い。
0歳児の保育室には、木製の階段を置いている
腕で自分の体を浮かせて、塀を乗り越えたりして遊ばせてみると、
やはり「発達の遅れ」と「腕の弱さの一致」が見られる。
また「咀嚼」と「腕の力」についても、深いつながりがある。
手を発達させなくてはならないと、意識的に砂遊びに連れ出し、シャベルを持たせる事にした。

<重要な水遊び>

生物の歴史からいって、最も基本的な感覚機能としての、
皮膚感覚の発達を大切に考えている。
水はホースを使わずに、バケツや空き缶、古鍋等をおいて使わせている。
重たいものを持つと、やはり腕の力がつく。握る力も強くなる。
握る力は、人間としての発達に大変重要な事がわかっている。

障害児が保育園で保育されていても、家庭にいる時間の方が長い。
その間、親をはじめとする周りの大人が深刻な顔つきでいたのでは、子供の成長に良くない。
直接は、保母の職業病による手不足を補うためだが、
親の子供への接し方について学ぶという意味もあり、母親教室もまた重要である。

<絵を描く>

『初めて筆を持たせてみた時の事。
初めての事に驚いたようで、なかなか筆に紙を下ろさなかったが、
そのうち筆のポスターカラーが、ぽたっと紙の上に落ちた。
私はすかさず「すご〜い! Tちゃん! ほら描けたね!」と誉め「もっと描く?」と聞く。
するとTちゃんは、にこっと私を見た。
紙をかえ、Tちゃんの持つ筆に、ポスターカラーをつけると、
Tちゃんはじっと、ポスターカラーが筆から落ちるのを待った。
「あっ! また描けたね?! もっと描く?!」と誘う。
何度か繰り返すうち、ついにTちゃんは、自ら筆を紙に下ろした。

1歳児では、まだ指先より腕全体を動かして描くので、
イスに座らせず、立って描かせるようにしている。

『せっかく伸びかかってきたS君に、
少し積極性がなくなってきたのが気になり家庭訪問する。
両親が「文字」を教え始めた事を知った。
文字学習を早期にとあせる考えを、幼児教育から追放していく事の大切さを、
痛いほど感じさせられている。』

『「ダウン症」の子の親として
幼稚園に通った二年間に、多くの変化を経験したのは、むしろ私たち夫婦であった。
障害児を隠そうとしていた状態から、外に出す事に確信をもてるようになり、
発達に希望が持てるようになったことである。』

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