以下の文章は
サリーさんの許可を得て、
HPから抜粋&文末等の一部に、手を加えさせていただきました。

ご協力いただいた管理人:サリーさん、
ありがとうございました。
m(_"_)m

『私の言葉は、悠くんの頭の上を素通りするだけで、悠くんの耳には届かない。
「自閉症」…その名の通り、まるで自分の世界にいて、
私たちの世界との接触を拒んでいるかのような印象を受けました。
母である私は…物を手に入れるための道具であり、
どこかへ移動するための手段でしかなかったようで、私に顔は必要なく、
何かが欲しいと思った時に、
そこに誰かの手があれば、誰の手でも使う。
たとえ、見知らぬ通りすがりの人の手だったとしても。』

 耳が聞こえていないわけではないので、耳から情報は入ってくるけれども、
その情報を処理する能力に障害があり、
私たちの情報処理の仕方とは「全く違う方法」を取ります。
悠くんは、耳からの情報より、身体で覚えたことを優先させます。
例えば「保育所に行く」ということを、「いつも通っている保育所への道」を頼りにします。
ですから、道が違うと保育所へ行くかどうか分からなくなる。
私が伝えた「保育所へ行くよ」という耳からの情報は、悠くんには理解できません。
でも、自分の好きなおせんべいの袋をカサカサと触る小さな音を聞きつけ、
どこからともなくやってきます。
「立って」「座って」など、日常の中で何度も繰り返しかけられる言葉、嫌でも覚えてしまう言葉を、
どうやったら理解せずにいられるのか不思議でした。

「聴覚情報処理が苦手で視覚優位」
「概念など、見えないものの理解が出来ない」「1対1の理解をするので、応用がきかない」
「興味・関心が私たちと違う」
自分に当てはめて考えることが出来ないのですから、理解をしようとしても、とっても難しいです。

『こだわり』

 自閉症体験をしようと思ったら、
言葉も文化も違う外国で、1人で生活してみれば良いと言われます。

「言葉の意味が解からない」、「周囲の人たちの反応が理解出来ない」という状態は、
まさに自閉症の人たちが経験している状態です。

そんな中で、もし、のどが渇いた時は?
目の前に並んでいるボトルの中身は、「飲み物」なのか、「薬」なのか、
もしかしたら「ペンキ」のような物なのかもしれません。
貼ってある赤や青のラベルの文字は理解することができません。
言葉が通じなくては、聞くことも出来ません。
中身が何なのかさっぱり分からない… そんな場合、どうするでしょうか?

以前に、赤いペットボトルに入ったおいしい飲み物を飲んだ経験をしていたとしたら…?
その、一度飲んだことのある赤いボトルなら、
中身がおいしい飲み物だとわかっているから、安心して飲めます。
きっと赤いボトルのものを飲むでしょう。
他のものは、飲み物かどうかすらわからないので、怖くて飲めません。
その国の人たちは、全部が飲み物であることを知っています。
でも、私が安心して飲めるのは赤いボトルのものだけです。
「赤いボトルのものしか絶対に飲まない私」は、その国の人たちから見たら、
何てこだわりの強い人なのでしょうか…

同じコップからしか飲まない。
コップが変わると、何が入っているかわからない…
同じ道しか通らない。違う道を通ると、どこに連れて行かれるのか分からない…
これが、環境の意味を理解出来ない自閉症の人の「こだわり」なのです。

『構造化』

わらないから、こだわらざるを得ない…
つまり、わかるようにすれば、過去の体験にこだわらなくてもいいわけです。
では、どうすればわかってもらえるか…?
本人が理解できる方法で伝える、つまり「構造化する」ということです。

例えば「午前・午後」・「1日」・「1週間」など、時間の枠、
「自分」・「家族」・「地域」、「社会の枠」・「時間の枠」・「所有の枠」など、
そういった「環境の枠組み」、「目に見えない暗黙の了解」や「社会の条件やルール」。
健常児が、いつの間にか理解していくこの環境の構造を、
自力では理解できない、それがわからないがために混乱する自閉症の人に、
環境の構造を見てわかるよう、環境の側を調整するという事です。

  悠くんにも、悠くんの周囲の環境を構造化してきました。
最初は「1日に3回食事がある」とか「時間が流れていること」すら知りません。
「他人のもの」と「自分のもの」とがあること、
そういったことがまったく解っていませんでしたし、
人と情報の交換が出来ること、人に伝えること、人から伝えてもらうこと、
そういったものの存在:コミュニケーションというものがあるということすらも知りませんでした。
そういったものの存在を全て、悠くんにわかる形 = 見てわかる形にしてきました。
「サリーの樹」では悠くんへの構造化を書いています。

『スケジュール』

「本人の」時間管理を視覚的に支援するものです。

誰でも、社会のルール、家族のルールの中で自由に行動します。
周囲の人間の都合だけを示すものではありません。
その「スケジュール」には本人の意思が反映されていなければいけません。
もし、本人から納得しましたという意思表出がなければ、
無理やりやらせていることになります。
「コミュニケーションの力:相手の思いを理解して自分の思いを相手に伝える力」が必要です。
悠くんに提示しているカレンダーに、
「病院にいく」などの嫌いな活動について、貼っていないということは、
つまり、それらの活動が「ありません」ということを、事前に伝えていることになるわけです。
それを変更する場合、出来るだけ早く悠くんに示し、納得してもらいます。
数日前から予告しておくのと、突然の予告とでは、悠くんの納得の仕方が違います。

一人でどこかへ行って帰ってくるだけのスキルを身につけていませんので、
悠くんからの要求をスケジュールに反映させるという事は、
私のスケジュールと調整するということになります。
スケジュールを共有する事で、
悠くんは勝手に自分の頭の中のスケジュールだけを変更しません。
おかげで、悠くんが勝手に何かしてしまうということがなくなってきました。

「一緒に行動するサリーのスケジュール」
それに「社会のルール」や「家族のルール」と調整しながら、
悠くんが納得するまで交渉することになります。
この「スケジュール」が、いろいろな事を悠くんに伝えているのだと思います。

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