<熱中症の分類とその対処法>
J.日射病 … 帽子をかぶらずに、長時間外出した時などに起こりやすい。
症状は、比較的軽く、回復も早い。
- 原因 … 炎天下に長時間立っていた場合や、運動をやめた直後などに起こります。
- 症状 … 顔面が蒼白になり、唇がしびれたり、めまいがして気分が悪くなり、時には
(短時間)意識を失う事もあります。( 脈拍が速くなり、呼吸回数が増加)
- 意識の確認
- 涼しいところに運んで、衣服を緩めます。
- スポーツドリンク等の水分を、たくさん摂らせます。
- 横に寝かせ、足を高くして、手足を心臓に向かってマッサージします。
K.熱痙攣 … 普段から炎天下の活動に慣れている人に起こりやすく、部分的な
症状が、突然、強く出ます。(こむらがえり等)
- 原因 … 高温下で運動や過酷な仕事をし、水分だけを補給した場合に起こります。
- 症状 … 手足や腹部に痛みを生じ、痙攣を起します。
時には、全身の倦怠感や、頭痛・吐き気などの症状を伴いますが、
意識障害はなく、体温もほぼ正常に保たれます。
- 日射病の対処同様、涼しいところに移動し、0.9%の生理食塩水を飲ませます。
L.熱疲労 … 高温環境に慣れていない人が起こしやすく、意識はあっても、体が
思うように動かず、熱射病に移行してしまう事も少なくありません。
- 原因 … 体内の水分が極端に不足したために生じる脱水症状が原因になって、
起こります。
( 高温多湿下で、運動や過酷な仕事によって、大量に汗をかいても、
水分を補給しなかった場合や、乳幼児・高齢者が、長時間高温
多湿下にいた場合等。)
- 症状 … 倦怠感や虚脱感、めまい、頭痛、口渇、吐き気など。
( 血圧や脈拍が低下して、体温は上がり気味になります。)
- 体温を下げ、熱射病への移行を防ぎます。
- 氷嚢・水枕・アイスバック等を使って冷やします。
- 「首の両側」・「太股の付け根内側」・「両脇の下」が効果的です。
- 冷水タオルで体をさする事も有効。(皮膚表面の血管が拡張する。)
- 体に、常温かぬるま湯程度の水を吹きかける。(蒸発で冷やす。)
( うちわなどで風を送ると、効果が高まります。)
- 意識がない場合
… 回復し、寒いと訴えるまで冷却。( 震えが出ないように要注意 )
足先などの末端が冷たいときには、その部分のみ保温します。
- 顔が赤い場合
… 寝かした状態で、やや上半身を高くします。
M.熱射病 … 炎天下で乳幼児が車中に置き去りにされ死亡する事故が、典型的例。
- 原因 … 熱疲労の状態が続き、体内で発生した熱が外に放散できなくなる状態。
体温調節機能が正常に働かなくなり、体内での血液凝固や、筋肉の分解
が始まり、中枢神経の変調や全身の多臓器不全を引き起こします。
- 症状 … 発汗がなくなり、皮膚が乾燥し、体温が異常に上昇(40〜41度)します。
疲労感・めまい・血圧の低下から、ショック状態を起こします。
意識障害から昏睡、そして時には死亡するケースもあり、大変危険。
- 熱疲労の対処をしても、意識が回復しない場合や、応答が鈍かったり、言動が
おかしい場合は、熱射病を疑います。
- 救急車を呼びます。
- 待っている間は、とにかく体温を下げるよう努力を続けます。
<熱中症になりやすい条件>
- 熱中症を起こしやすい人
- 高齢者・乳幼児など、体力がなく、暑さに不慣れな人。
- 体調不良の人、ケガや故障のある人。
- 体調が万全でも、過去に熱中症を起こした経験のある人。
- 心疾患・高血圧・糖尿病・貧血・肥満などの疾患がある人。
- 我慢強く、内気な性格の人。
- 気象・環境・活動条件 … 基本的には、高温多湿。
- 前日までに比べて急に気温が上昇した日や、梅雨明けをしたばかりの時期。
- 気温はそれほどではないけれど、湿度が高い時。
- アスファルトや草がはえてない土地・砂の上で活動する時。
<予防>
- 水分補給
… 炎天下で活動をしていると、外からの熱と、体内からの放散する熱を受け、
また、大量の汗とともに塩分を失い、電解質バランスが崩れてきます。
水だけで摂ってのでは吸収されにくいので、失われた塩分・糖質(エネルギー)
も、あわせて摂る事が大切です。
また、「喉が渇いた」と感じたら、それは既に脱水の始まりと言われます。
早めの補給を心掛けましょう。 - 服装の調節
… 直射日光を防ぐため、帽子の着用をしたり、通気性の良い素材・形を
選ぶようにしましょう。
また“玉のような汗”は蒸発しにくいので、こまめに拭く事も大切です。 - 体調管理
… 睡眠不足は、熱中症を誘発します。規則正しい生活を心掛けましょう。
また、怪我や故障がある場合、健康な時と比べ多くのストレスが加わり、
精神的にも体力的にも疲れ、熱中症を誘発します。
もし、前日に比べ、体重が80%以下になるようなら、それは「食事量」・
「水分量」・「睡眠時間」等の調節が必要な状態です。
- 暑さに徐々に慣れる
… 熱中症が「梅雨明け」や「急に暑くなった時」に多いのは、体が高温環境や、
体内からの放熱に慣れていないためです。
暑い日は運動量を控える等、徐々に体を暑さに慣らすようにしましょう。
また、その日の体調・体力を把握する事が、大切になってきます。
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