<こんな病気>
… 円形の紅斑が多発する皮膚病で、大きく2つのタイプに分けられます。
- 紅斑が四肢だけで、発熱や粘膜症状がない型
… 近くの皮膚科専門医を受診。
- 紅斑のできる場所が決まってない型:症候性多型滲出紅斑
… すみやかに入院可能な総合病院の皮膚科を受診。
- 紅斑が全身の皮膚の広い範囲に生じる重症のタイプ。
- 発熱や、目・口・陰部などの粘膜に病変(充血・びらん)を伴うことがあります。
… 皮膚のびらんが「体表面積の30%」を超えると、
中毒性表皮壊死融解症と呼ばれます。 - 薬剤が原因のことが多いのですが、マイコプラズマ肺炎が原因と考えられる
症例や、原因がわからない症例もあります。
<原因>
… 多原因的疾患であり、原因についてはまだはっきりとはわかっていません。
- 今のところ、単純ヘルペスウイルスやマイコプラズマのような病原微生物(ウイルス・
細菌・真菌など)の感染症、 薬物・食物・内分泌異常・内臓悪性腫瘍などに
起因するアレルギー反応だと考えられています。
<症状>
- 自覚症状
… 通常あまりありませんが、軽いかゆみ・痛みを伴う事もあります。
- 四肢、特に手のひらや甲・足の裏や甲に、やや盛り上がった水っぽい(滲出性)
紅斑が多数できます。
… 紅斑は円形で二重の輪郭を示し、辺縁が少し盛り上がり、中央がくぼんだ
形をしたものから平らなものなど様々。
… 次々に新しい紅斑ができるため、新旧ざまざまの皮疹が混在し、
また紅斑同士が地図状にくっつき、水疱やびらんを伴うものなどもあります。
- 発熱などの全身的な症状はほとんどなく軽症です。
… 稀に頭痛・発熱・倦怠感を伴うこともあります。
- 「しもやけ」?
… 治りかけた頃、しばしば中心部が陥凹して蒼紅色になるため、一見
「しもやけ」のようにも見えます。
- 春と秋に数年間、再発を繰り返すものもあります。
… 春から夏にかけて、思春期から30才頃までの女性に多く見られますが、
大きな男女差はなく、各年令で起こります。
<治療>
- なり初めと治癒後:2回の採血などの検査で解かることがあるものの、原因が
わからないまま治癒する事もしばしば。
… CRPや白血球数、ウイルス抗体価などを調べます。
- 薬剤が原因であれば疑わしい薬剤を中止するだけで快方に向かいます。
- 皮疹は通常2〜3週間で自然に消退します。
- 対症療法としてステロイド外用剤による治療で経過を見ます。
- 症状により、副腎皮質ホルモン薬、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬を内服。
- ただし、重症型の多形紅斑やスティーブンス・ジョンソン症候群が疑われる場合は、
緊急に皮膚生検を行い、診断を確定する必要があります。
… 皮膚を数mm切り取って調べる病理組織検査で、麻疹や水痘など、
他のウイルス感染症との区別が難しい場合にも役立ちます。
- 早期の場合
… 副腎皮質ステロイド薬の点滴注射が行われます。
- 既に広範囲に皮膚がびらんが進んでいる状態の場合
… 重症のやけどに準じた治療になります。
* スティーブンス・ジョンソン症候群では、死亡率が6・3%、中毒性表皮
壊死融解症では21・6%に達します。
失明を含む眼の後遺症を残すこともあり、重大です。
<予防>
特にありません。
<こんな時は、再度受診(要:入院治療)を!>
重症型では予後の悪い例があります。
「全身(の皮膚)に痒みや、部分的に痛み・熱感を伴った赤いまだらの、いろいろな
形の発疹や水疱・びらんができる」などの初期症状に気づいた場合には、
薬剤の服用を中止して、すぐに受診を!
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