<症状>
一定期間の潜伏期をおいて結膜が赤くなり、めやにがたくさん出ます。ひどくなると
涙が出て、目に何かが入っているかのようにゴロゴロします。まぶたも腫れてきます。
このような症状が出ると、数日間は全身もだるく、発熱があったり、耳の下のリンパ節が
腫れたりします。
治まるまでには1〜2週間位かかりますが、症状や経過はウイルスによって違います。
- 流行性角結膜炎
- めやに等に含まれるアデノウイルス8型による感染によって起こります。
- 潜伏期間は約1週間で、年齢に関係なく発症します。
- 全身所見は特に見られませんが、耳前リンパ節に腫脹が見られます。
- 症状は、2〜3週間でおさまります。
- 流行性といわれるように、非常に伝染力の強い結膜炎です。
… 学校や職場は、最低でも1〜2週間は休む必要があります。
- 点状表層角膜炎
… 発病10日位:結膜炎の症状が峠を越す頃になって、今度は角膜に
小さな点状の混濁が発生して目がかすむようになります。
一度混濁ができる:黒目に星が入ると、数カ月〜数年にわたって
混濁が消えないことがあります。
- 咽頭結膜炎(プール熱)
… プールなどで広まり、喉が赤く、また高熱が出たりするので“プール熱”とも
呼ばれます。
- アデノウイルス3型等による感染によって起こります。
- 潜伏期間は5〜6日で、小児学童に多く見られます。
- 症状は、流行性角結膜炎よりも早く、約10日間で軽快します。
… 便に1か月以上もウイルスが出るので、結膜炎が治まっても
なかなかプールの許可が出ないのはこのためです。
- 発熱・耳前リンパ節腫脹が見られます。
- 急性出血性結膜炎(アポロ病)
- エンテロウイルス70型による感染によって起こります。
- 潜伏期は1〜2日で、成人に多く発症が見られます。
- 目の痛みで始まり、白目に真っ赤な出血が出現します。
… 早くて数日、長くても数週間でだんだんと消えていきます。
- 非常に稀ですが、この結膜炎が治る頃に合併症として神経麻痺が起こる
ことがあります。
<治療>
現在のところ、ウイルスに対する特効薬は残念ながらまだありません。
- 一般に、抗生剤や消炎剤等の点眼薬が処方されます。
… 「ウイルスで弱った目に、細菌など他のものによる感染が合併しないように
するため」と「角膜に点状の混濁が発生しないように」。
* 点眼薬をさしても、病初期(発病後1週間)の結膜炎の症状は徐々に悪くなる
事がありますが、ウイルス自体の感染経過ですから心配することはありません。
<人にうつさないために>
感染はカゼ(感冒)のように空気中を飛んで起こるのではなく「手」や「タオル」・「ハン
カチ」・「プール」などから、直接目にウィルスが入って起こります。
“完全な乾燥”や“200度の熱による殺菌”以外に確実な消毒法はありません。
現在のところ消毒薬や予防薬の有効なものがないため、まわりの人にうつさない
ために以下の点に気をつけて下さい。
- なるべく手で目を触らないようにしましょう。
- 目に触れたり点眼した後は必ず手を洗います。
… うっかりその辺の物を触ったりしないようにしましょう。
- ティッシュペーパーやペーパータオルを利用しましょう。
… ウイルスがたくさんいる目やにや涙は、なるべくタオルなどの布は
使用せず、これらでぬぐい一定のビニール袋に入れて、そのつど
封をして、最後にまとめて捨てましょう。 - タオルや枕カバーなどの布製品は別に使用しましょう。
… 使用後は少なくとも2〜3分間煮沸消毒し、日光によくあてて
干しましょう。 - 茶碗・はし・下着・ハンカチなども、できるだけ煮沸し乾燥しましょう。
- プールは禁止です。医師の指示に従いましょう。
- 学校、職場は休む必要があります。
… 発病して1〜2週間ぐらい感染しやすいですが、ウィルスによって軽く
すむ事もありますから、眼科医に休みの期間は相談して下さい。
治ったように思えても、医師の指示が出るまで、しばらくの間は他人と
接したり、遊びに行ったり、友人を招待するのはやめましょう。 - 発病の2〜3日前からすでに感染力があります。
… 症状が出てから気をつけても既に遅く、周りの人に感染している事も
あります。普段から汚れた手で目をこすったりする習慣をやめましょう。
<入浴について>
- 入浴や洗髪は症状がおさまるまで控えましょう。
… 症状がおさまるまではシャワー程度にとどめ、どうしても入浴しなければ
ならない場合は最後に入るようにしましょう。
シャワーのときは目にかからないようにしましょう。
- 残り湯は洗濯などには使わず(翌日に入らないように)流しましょう。
- 洗面器は(他の家族と)別にした方が良いのですが、別にできない場合は
使用後によく洗って熱湯を入れ消毒します。
- 入浴後、浴室のタイルにやかんで一杯の熱湯をかけておくと安心です。
<手の洗い方>
水道水を流しながら石けんで良く洗います。
… 目に触った“汚れた手”で蛇口をひねって水を出し、洗った手でまたひねった
のでは何にもなりません。あらかじめ水を出しておいてから目に触るとか、
人に開閉してもらうなどの工夫が必要です。
- 家庭では患者さんだけでなく、家族も水道水を流してから手を石けんで
よく洗いましょう。蛇口にも、水か熱湯をかけて下さい。
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