＜こんな病気＞

　　アデノイド(咽頭扁桃）に潜んで増えるアデノウィルスが原因で起こる病気。

• 　感染経路　…　主に、飛沫感染。涙・鼻水・便なども感染経路となります。
  　　　　　　　　　　　　 ＊　免疫がつきにくいため何回もかかることもあります。
• 　潜伏期間　…　５〜７日で、特に季節性はありません。
• 　診断　　　　…　咽頭ぬぐい液、結膜擦過検体を用いた迅速診断キットを使用。

＜種類と症状＞

　　現在49種類（分類によっては51種類）が知られています。
　　それぞれに番号がついていて、どの種類がどんな病気を起こすのか、ある程度わかって
　　います。

• 　上気道炎・気管支炎
  　　　…熱・鼻水・咳・のどの痛みなどを主な症状とする、いわゆる風邪の原因にな
  　　　　 ります。高熱・悪寒・頭痛・筋肉痛などのインフルエンザ様症状を起こすこと
  　　　　 もあります。
• 　扁桃腺炎
  　　　…扁桃腺に膿がつき、高熱が３〜７日間続きます。
  　　　　 血液検査では炎症反応が強くみられ、細菌感染と区別がつかない場合があ
  　　　　 ります。
• 　咽頭結膜熱（プール熱）　：　主に３・４型が起こします。
  　　　…扁桃腺が腫れ、発熱・のどの痛みなどの症状が出ます。
  　　　　 片眼あるいは両眼の痛みや充血・目やになどの症状が出ます。
  　　　　 熱は、１日の間に３９〜４０℃の高熱と、３７〜３８℃前後の微熱の間を、
  　　　　上がったり下がったりが続きます。頭痛・腹痛・下痢を伴うこともあります。
  　　　　 耳介前部〜頸部のリンパ節が腫れる事もあります。
• 　急性濾胞性結膜炎　：　主に、１・２・３・４・６・７型が起こします。
  　　　…　眼の痛み・涙目・目やにといった症状が、片眼あるいは両眼にみられます。
• 　流行性角結膜炎 　：　主に、８型が起こします。
  　　　…極めて感染力が強い。
  　　　　 結膜だけでなく角膜（黒目）の炎症
  　　　　 頭痛・リンパ節炎・鼻水・咽頭炎・下痢
  　　 　　眼の痛みや充血・異物感・涙目・目やにといった症状が、片眼あるいは両眼
  　　　　 にみられます。のどの赤み・発熱の程度は軽めです。
• 　胃腸炎 （嘔吐下痢症）　：　主に、３１・４０・４１型が起こします。
  　　　…発熱の程度は軽く、腹痛・嘔吐・下痢を伴い、乳幼児期に多くみられます。
  　　　　 アデノウイルスによる腸炎は、腸重積を起こす原因になると言われています。
• 　出血性膀胱炎　：　主に、１１型が起こします。
  　　　…排尿痛・真っ赤な血尿が特徴です。
  　　　　 これらの膀胱炎症状は２〜３日で良くなり、尿検査での潜血も２週間以内
  　　　　 に改善します。
• 　肺炎　：　主に、３・７・２１型が起こします。
  　　　…長引く発熱、咳、呼吸障害など重症になることがあります。
  　　　　 乳幼児に多く見られ、髄膜炎・脳炎・心筋炎などを併発することもありますが、
  　　　　 ステロイドを投与することで重症化の予防が可能となります。

＜治療＞

　　細菌性のものと違って抗生剤が効かず、特効薬がないため、体内にウイルスに対する
　　抗体ができるまで待つしかありません。治療は対症療法を行います。

• 　高熱・痛み　…　解熱鎮痛剤の内服や坐薬
• 　眼の痛みや赤みが強い時、眼脂が多い時
  　　　　　　　　 …　細菌などの２次感染を予防する抗生剤や、炎症を抑える目的で
  　　　　　　　　　　　抗炎症剤（ステロイド剤）の目薬を使います。
• 　脱水・食欲低下　…　点滴
• 　細菌の混合感染を防ぐための抗生剤処方。

• 　高熱〜高めの平熱といった状態が５日間くらい続きます。
  　　　…　熱のひいている時は比較的元気なので、この時に、シャワーを浴びたり、
  　　　　　喉ごしのいいものを食べさせると良いでしょう。

＜予防＞

• 　タオルや食器の共有を避けましょう。
• 　アデノウイルスは５５℃：３０分で失活します。
• 　キッチンハイターに２時間浸け置きしても消毒できます。